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Islam, M. S.*; 大谷 恭平; 坂入 正敏*
no journal, ,
これまでの研究で淡水中に含まれる亜鉛イオンは炭素鋼の腐食を抑制する効果があるという報告がされているが、亜鉛イオン濃度の影響は不明だった。そこで、亜鉛イオン濃度を0.1mMから1mMまで変化させた溶液を用いて腐食試験を実施し、亜鉛イオン濃度が炭素鋼の腐食に及ぼす影響を調査した。腐食試験後の鋼の質量減少量は淡水の亜鉛イオン濃度と線形に比例して減少していた。腐食試験後の鋼材表面のSEM観察結果から亜鉛イオン濃度の増大に伴って鋼表面の孔の数は減少していることがわかった。XPSおよびAESによる表面分析より、亜鉛イオンは鋼表面に金属カチオンの層を形成し、亜鉛イオン濃度が高いほど金属カチオン層は鋼の被覆率が高いことがわかった。
五十嵐 誉廣; 小松 篤史; 山口 正剛; 海老原 健一; 上野 文義
no journal, ,
近年、温室効果ガスの削減や省エネルギーの観点から、高強度鋼に対する需要が高まっている。一方、高強度鋼は水素脆化感受性が高いという問題がある。水素脆化のメカニズムを明らかにするためには、鋼中の水素分布を評価することは重要な課題の1つである。最近、金属表面への水素吸着による表面電位低下から水素分布を評価する方法が用いられている。しかしそのメカニズムは不明である。本研究では、水素原子による鉄の表面電位低下機構を解明するために、密度汎関数理論(DFT)計算法による表面電位変化と電気双極子モーメント解析を行った。鉄の表面方位は(100)方向、表面状態は清浄表面と酸素吸着表面の2種類を定義した。解析の結果、酸素原子吸着表面上の吸着水素があるときに表面電位が減少することがわかった。また、表面電位変化と電気双極子モーメントとの間に明確な負の相関があることがわかった。以上の結果から、表面電位の低下は、水素原子の吸着によって生成された電気双極子が原因の一つであることが示唆された。